こもり食堂

何度か多治見に来ている同行のスタッフから,この辺りはお昼は大したものがなくて,と聞いていたので,近くで見つけたこの「こもり食堂」も大して期待せず,とりあえずお昼食べれたらいいかな,というくらいの気持ちで出向いたのでした。

お店は外観からもそうだし,中に入ってもそうですが,昭和テイストがたっぷり漂う,何の変哲もない,ごくごく普通の食堂といった感じです。普通,それしか出てこないな,という感じでした。

お店に入って,一通りメニューを見て,暑いし,昨日は冷たいとろ吸い食べれんかったし,ということで,目に入った冷やし中華を頼むことにしました。


すぐに出てくると思いきや,なかなか冷やし中華が出てこない。いらちの大阪人なので,ん〜,遅いなぁ,まだかなぁ,と内心思いつつ,しばらく待っていると,整然と盛りつけられた見た目に美しい冷やし中華が目の前に置かれました。

こもり食堂の日本一うまい冷やし中華

まぁ,パッと見,普通です。若干トッピングにして欲しくないなぁ,と他の料理の時にも思うかいわれ大根が載っている以外は,チャーシュー,錦糸玉子,トマト,キュウリに紅ショウガ,からしにマヨネーズと,どれも冷やし中華に入っているものばかり。大盛りにしてもらったので若干盛りが大きくなっています。

さほど期待せずに一口麺をすすって驚きました。なんやこら,めちゃくちゃうまいやないか…

麺を茹で上げた後,おそらく氷を一切使ってないんでしょう,冷水で丁寧に熱を取り,氷を放り込んで雑に熱を取って水っぽくなるようなことは一際せず,冷たいけれど冷たすぎない,ほどよい冷たさに麺が冷やされ,それが丁寧に整然と並べて盛りつけられていました。

具材はどれも大きさが揃うように丁寧に刻まれています。トマトは普通,くし切りにしたものを1つか2つ載せてあるだけだと思いますが,こちらのはきちんと短冊形に切って,これもきれいに並べられています。

チャーシューは,台湾の鉄玉子などで感じるあの独特の風味,おそらく五香粉あるいはそれに含まれる八角(スターアニス)が隠し味で使われているようで,外側からほんのりといい香りがして,これが食欲をグッとそそってくれます。

見た目が本当にきれいですね。マヨネーズはきっと,後から奥さんが「マヨネーズはかけますか?」と聞いてきたので,調理場のご主人ではなく,この奥さんが足したのかな,という感じで若干乱れがありますが,全体に影響はありません。

たれも甘すぎず酸っぱすぎず,しっかりと味がするのにさっぱりとしていて,冷やし中華によくある,あ〜酸っぱいなぁ,という感じがほとんどありません。麺や具材のうまさを見事に引き出す名脇役というところですね。

これだけ丁寧に麺を茹でて冷水でしっかりと熱を取り,整然と具材を盛りつけるのであれば,そら時間がかかるのは当然,と己の浅はかな心持ちに恥じ入ってしまいました。

うまい,本当にうまいです。滅多にこんなことを言いませんが,こちらの冷やし中華は日本一だと思います。少なくとも,自分が今まで食べたことのある冷やし中華の中ではナンバー1です。これなら,冷やし中華を馬鹿にした海原雄山も納得するんやないかな,と思います。

店主の思いが詰まった丁寧に作り上げられた冷やし中華をじっくりと味わった後,お店を出る前に,厨房のご主人の元へ行って,本当においしかったです,ごちそうさまでした,と御礼を述べてきました。

その後,しばらく,思い出しては「冷やし中華,うまかったなぁ…」とつぶやいていました。本当においしかった。

仕事でなければ多治見に来ることはありませんが,もしまた来る機会があれば,ぜひ立ち寄らせていただきたい,そう心から思う次第です。
 


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