今日は夕方から,弁護士会の研修に参加してきました。

離婚法律相談に関する内容で,離婚における子をめぐる問題や,離婚に関連する心理的対応について,家裁判事経験のある弁護士や,元家裁調査官の相談員の方のお話を伺ってきました。

その中で,特にこれは他の分野でも役立つな,と思ったものをピックアップしたいと思います。


相談面接について −面接は言葉を介したコミュニケーション−
公益社団法人 家庭問題情報センター大阪ファミリー相談室(FDIC) 田中惠美子先生 レジュメより引用

傾聴

「傾聴」はすべての分野の面接における基本姿勢。
相談者の話をしっかり聞くこと。相談者との信頼関係を形成するためには,相談者の話すストーリーについていくことが大事。
「聞いてもらっている」との安心感を形成する。

お話の中で,聞き手が話を飛ばして,あれこれと迷っている相談者に結論を言ってしまうのは違和感が残ってしまう,ということを仰っていました。

法律相談に限らず,最近はネットで誰でも一定の情報を得られることができるので,調べたらすぐに分かるような内容で抽象的に一般化して回答してしまうと,この人は聞いてくれていないな,と思われてしまうそうです。

話し手が自分の話を聞いてくれているな,と実感できるまでしっかり話を聞くことが大事だ,とのことでした。

自分自身,これは一番大事だな,と思って,時間の許す限り,法律相談の際には耳を傾けるようにしているし,普段の生活でも,相手が何を求めているのか,何を伝えたいのか,ということを,自分の勝手な判断でかいつまんで先に話して,話の腰を折るようなことはしないよう,注意しています。

とはいえ,まとまりのない話を聞く時はなかなか難しいことで,忍耐と思いやりが欠かせないな,と思います。

ラポール(信頼関係)の形成

傾聴する中で,相談者が話す言葉の意味だけでなく,話す速度や声の強さ,早さ,視線の合わせ方,身体言語等に込められた意味を受け止め,相談者の主張や個性や価値観,心情等を理解する。

傾聴したうえで,話が一区切りするところがポイントだとして,その時点で,話し手の話す内容をうまく要約して的確に返せると,話し手が「聞いてもらっている」と実感できて,大成功ということでした。

開かれた質問と閉ざされた質問ということが挙げられていて,前者は,話し手が話を広げていけるものであるのに対し,後者はYES・NOで答えるもので,自分の言いたいことを言えず,誘導になって不満が募ってしまう,というものです。

専門家として相談を受ける場合,ある程度話を聞くと,大体の筋道が見えてくるので,方針を決めるために必要な聴き取り事項も把握できて,ついそれを得ようと誘導に近い形で,こうですか,ああですか,と聞いてしまいそうになりますが,得てしてそうすると,話し手が不満に思うポイントが出てこなかったり,場合によっては話してもらわなければならないことが出てこなかったりするので,気をつけないと,と思います。

問題を定義化するための情報収集

相談者の話の不明確な点などの確認や,相談者の混乱を整理するために,情報を収集する。

傾聴とラポールの形成がうまくいけば,後は,聞き手が必要としている情報を聞き出すことは容易になっていると思います。

傾聴とラポールの形成,と大げさに言わなくても,ちょっとしたことで話せる,話しやすい,と思ってもらえると,同じ事を聞くにしても反応が違ってくるので,そこは普段から,話し手の言うことを遮ることなく,うまく聴き取れるようにしたいな,と思います。

目標の設定

問題解決に向けて相談者自身による目標を設定
解決に向けての法的知識や見通し等情報の提供

法律問題に限っていえば,やはり主体は依頼者である話し手であって,弁護士はあくまで代理人として脇役だと思うんですね。

聴き取った問題点について,法的にはこういう手段がある,と説明することはできても,最終的に依頼者である話し手が納得できる結論を得られるかどうかは,依頼者の意向なくして決められないんですね。

普段の生活でも同じだと思います。最終的に,自分が納得できることでないと,いくらいいアドバイスをもらってもできないですよね。

聞き手としては,単に聞くだけで終わるのではなく,話し手が求めている部分をうまく察して,本人が選びやすい選択肢を示してあげるといいのではないか,と思います。
 


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